クサガメの「たわし」の成長率

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概要

クサガメの「たわし」の身体測定結果が公表された[1]。 そのデータに基づき、たわしの成長率を求め、たわしがどのように成長したのかを考察した。

データ

元データのたわしの体重と甲長の時間変化のプロットを図1に示す。

図1. たわしの体重と甲長の時間変化

成長モデル

ある変数が現時刻の値に比例して増加すると仮定すれば、とその成長率は、次の微分方程式で

 

 

 

 

(1)

と表せる。この成長のモデルは『人口論』において人口増加が幾何級数的であることを最初に指摘したトマス・ロバート・マルサスにちなんでマルサスモデルと呼ばれる。

微分方程式(1)は解析的に解けて、

 

 

 

 

(2)

と表せる。ただしは定数で、時刻のときのの値である。

すなわち、の対数をとったものは時間に比例する:

 

 

 

 

(3)

たわしの体重および甲長の成長がマルサスモデルに従うと仮定すれば、時間に対する体重および甲長の対数をとったものの線形回帰を求めれば、たわしの体重および甲長の成長率を求められる。

解析結果

時間に対する体重および甲長の対数をとったものを最小二乗法で線形回帰した(図2, ソースコード)。

図2. たわしの体重と甲長の時間変化の線形回帰

体重の成長率、甲長の成長率と求められた。 すなわち、たわしの体重は時間当たり3%程度成長していて、甲長は時間当たり1%程度成長している。

考察

たわしの体重および甲長の成長率がたわしの成長に関してどのような意味を持っているかを考察する。

球体のたわし

たわしが密度が均一で一定な球体であると仮定しよう。

たわしの体積を、半径をとすると、

 

 

 

 

(4)

である。 時間で微分すると、

 

 

 

 

(5)

となる。

たわしの質量を、密度をとすると、

 

 

 

 

(6)

という関係がある。 式(6)を時間で微分すると、

 

 

 

 

(7)

ここで、たわしの質量(つまり、体重)がマルサスモデルに従うとしよう。

 

 

 

 

(8)

式(7)および(8)より、

 

 

 

 

(9)

という関係が導き出される。

一方、たわしの長さ(甲長)もマルサスモデルで成長するとする:

 

 

 

 

(10)

式(5)へ式(9)および(10)を代入すれば、

 

 

 

 

という関係が得られる。

実測値の線形回帰から得られた値ではであることから、たわしは大雑把には、質量と直径がマルサスモデルで成長する密度が均一で一定な球体であることがわかる。

楕円球のたわし

たわしが密度が均一で一定な、半径がの楕円球体であると仮定すると、体積は

 

 

 

 

(11)

と表せる。 式(11)を時間微分すると、

 

 

 

 

(12)

たわしの質量と半径がマルサスモデルに従うとすると、式(9)および(10)が成り立ち、

 

 

 

 

という関係が得られる。

実測値の線形回帰から得られた値ではであることから、である。 たわしが形状を変えず等方向に均一成長するならば、なのでとなるはずだから、実測値がその2からずれるということは、成長に異方性があり、成長に従って形が変わっていることがわかる。

と仮定すれば、実測値からであることがわかるので、たわしは縦長に成長していることになる。

結論

たわしの質量の成長率と甲長の成長率を求めた。たわしの体重は時間当たり3%程度成長していて、甲長は時間当たり1%程度成長している。

たわしの質量の成長率と甲長の成長率の比から、たわしが質量と直径がマルサスモデルで成長する密度が均一で一定な球体であるとほぼ考えられる。

また、たわしの長さの成長には異方性があり、少しずつ形を変えながら成長をしていることがわかった。

References

  1. たわしすたじお, 身体測定 2015/01/19 │ たわしすたじお http://tawashi-studio.com/growth/20150119/